第5回日本ヘルスコミュニケーション学会に参加してきました

8月9日(金)、外気温38度を超える猛烈な暑さのなか、岐阜大学で行われた第5回日本ヘルスコミュニケーション学会に参加してきました。

その中でいくつか印象的だったものをご報告したいと思います。

 

(1)ハーバード公衆衛生大学院での「ヘルスコミュニケーション」について

(株)キャンサースキャンの石川義樹様のご講演。非常にわかりやすく、知性がほとばしるご講演でした。

ハーバードでは、「多様化・複雑化する健康問題に対し、従来通りの「研究」や「教育」を学校の柱としていては社会の要請に答えることはできない」として、学校の使命の一つとして「コミュニケーション」を加えたのだそうです。

市民に健康情報をつたえるためにも、マスコミとの付き合い方をどうするか、ということを「ヘルスコミュニケーション」では学んだのだそうです。

せっかく素晴らしい研究結果がでても、それを研究者同士だけしかわからない、専門家にしかわからないところにとどめず、最終的には、より多くの人に効率的に知ってもらう、活用してもらう必要があります。私たちも、どのよう研究結果をどうやってマスコミに伝えると、取り上げてもらえるのか、ということもきちんと把握し、それを実践しなければ、結局は意味がありません。

・ knowledgeを evidence に転換すること

・evidenceを市民・政策立案者・医療従事者に届け、日々の意思決定に活用してもらうこと

それによって社会の健康状態を改善する ことが必要とされています。

 

2)ヘルスケアジャーナリスト協会(AHCJ)について

国際医療福祉大学大学院生で、現在、現役でNHKにご勤務されている市川さんの発表を聞きました。

アメリカには、AHCJというNPOがあり、ジャーナリストと研究者で構成される、執筆する人を教育する組織があるが日本にはない。健康・医療情報のソースとしてマスコミは大いに利用されているにもかかわらず、日本ではその取材する側の教育や専門知識やモラルなどを提供する研修プログラムの不備が問題になっているとのこと。

 

 

この2つの内容から、私は、公衆衛生は、研究や教育で得た知見を、論文という形にして世の中に出す、というステップの次に、できるだけ多くの人に知ってもらう、ということを、自身のセミナーや実際の教育活動だけにとどめず、マスコミの力をうまく借り、マスコミの方とともに協業しながら、より多くの方が「健康」という手段を使って、個々人の設定する「幸せ」や「ゴール」に向かって最短距離を走ってもらうためのサポートなんだな、と改めて感じました。

 

とても興味がある分野なので、他にも、桜美林大学の穐田先生のお話など、非常に勉強になりました。

参加してよかったです。

 

堤 円香@MPH