北茨城地域医療研修ステーション 北茨城市における地域医療教育
クリニカルクラークシップの一つとして、医学群5年生が3-4名単位で北茨城市に1週間滞在し、地域を基盤にした保健・医療・福祉活動を体験学習します。全ての実習を通じて、この地域で生活することの強みと抱える問題を探り、何らかの提言ができるような、フィールドワークの視点を持って取り組むことを課題としています。
北茨城市立総合病院では、外来診療、リハビリテーション、へき地巡回診療など、病院が直接担っている医療を学びます。また調剤薬局実習、訪問介護実習、地域リハビリ教室「くるみの会」への参加、こどもの家での幼児や保護者とのふれあい、健康教室に講師としての参加など、地域へ出かけていく実習を通じて、地域住民や多職種との交流をします。
特徴
地域を指向し地域を基盤とした医療では、地域(community)を一つの有機体と見立てて“診断”することが必要となってきます。人間の診療で問診、視診、聴診、触診、打診などがあるように、地域診断においても問診(インタビュー)や視診(目での観察)、聴診(耳での観察)などが役立ちます。 北茨城市での地域クリニカルクラークシップでは、単に各所での実習をするのみでなく、地域を知るためのインタビューをその場にいる人に試みます。いろいろな立場の人にインタビューすると、多面的に地域が見えてきます。あるいは皆が共通して持っている考えも分かってきます。
実習内容
実習スケジュールの例
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 | 大学でオリエン テーション (移動) |
総合診療初診 | 選択科外来 | 地域リハビリ教室 「くるみの会」 |
フィールドワーク |
午後 | 調剤薬局 | 訪問介護 | こどもの家 健康教室 |
リハビリテーション | (移動) 大学で報告会 |
夜間 | 救急当直 健康教室準備 |
外来実習
病院の外来で診療の実習をしたり、患者さんをエスコートしつつお話しに耳を傾けたりして、地域病院における当該診療科の役割を学ぶとともに、病院外来からみた地域を知ります。 実習科は内科(総合診療)、外科、小児科、産婦人科、歯科口腔外科の協力で行います。
リハビリテーション
病院のリハビリテーション室は、病院と地域生活とを結ぶ部屋でもあります。リハビリテーションの視点を学び、リハビリに取り組む患者さんから地域で生活するために大切なことを学びます。
救急当直実習
指導医に付いて夜間救急を学びます。救急車の受入れの機会には、救急隊員に少しインタビューすることもできます。
巡回診療実習
北茨城市は海岸から山間部まで広い市域がありますが、医療機関があるのは海に近い平地部のみです。無医地区の住民のために週に1回の巡回診療があります。我々のスタッフが担当する日に学生も同行実習をします。
調剤薬局実習
実際に調剤を学んだり、薬局の受付や事務的なことも学んだりします。薬剤師は医師と違った視点で患者さんや地域をみていることでしょう。また他職種からみた医師というのを知ることも多職種連携をする上で大切なことです。
訪問介護実習
北茨城市社会福祉協議会の訪問介護に同行して実習します。利用者のお宅を訪問することは、生活者の視点で学ぶ貴重な機会となります。
地域リハビリ教室「くるみの会」実習
介護予防教室や昼食会の輪に入らせていただき、交流を深めます。この会は主にボランティアで運営されています。地域の健康を守るのは専門職の活躍ばかりでなく、市民ボランティアの果たす役割も大きいものです。
「こどもの家」実習、健康教室
旧幼稚園舎を利用して未就学児と保護者が自由に利用できる、子どもにとっては遊びの場、保護者にとっては情報交換の場です。学生はここで、子どもの健康についての教室を開いて、その後は子ども達と遊びます。地域の子育て支援や小児医療の問題を学ぶことに繋がります。
フィールドワーク
市内の一地区を選んで、歩きながら町並み、人々などを観察します。時には出会った人にインタビューをしたり、お店に入って話を聞いたりします。北茨城の歴史を聞けたり、震災復興への思いを聞けたりします。